DAIってなに?
DAIは「ステーブルコイン」っていう種類の仮想通貨の一つです。「ステーブル」って言葉からもわかるように、これは値段が安定している仮想通貨なんです。普通の仮想通貨、例えばビットコインやイーサリアムって、値段がめちゃくちゃ変わりやすいですよね。昨日は1BTC=500万円だったのに、今日は400万円なんてことも。でもDAIは、1DAI=1ドル(約150円前後)を目指して価格が保たれるように作られています。
DAIの仕組み
DAIが特別なのは、発行の仕組みに秘密があります。他のステーブルコイン(たとえばUSDTやUSDC)は「法定通貨のドル」などを銀行に預けて、その価値を裏付けに発行されます。一方で、DAIは「仮想通貨を担保にして発行」されるんです。
例えばあなたがイーサリアム(ETH)を1ETH=2000ドル(約30万円)分持っているとします。このETHを「担保」として預けることで、DAIを借りることができるんです。
この仕組みを動かしているのが「メイカーDAO」というシステムです。簡単に言うと、自動で動く銀行みたいなものです。
DAIの強み
1:価格が安定していること
仮想通貨って、値動きが激しいイメージがありますよね。例えば、ビットコイン(BTC)は数日で10%以上も値段が上下することが珍しくありません。でもDAIは、1DAI=1ドル(約150円)を目指しているので、値動きがほとんどありません。
この安定性が、実生活での利用や投資家にとって魅力的なんです。例えば海外送金で使う場合、ビットコインのように送金中に価値が大きく変動する心配がないのが安心ですよね。
2:担保に裏付けされた信頼性
DAIは、他の仮想通貨(例えばイーサリアムやUSDC)を担保にして発行されます。この仕組みを運営しているのが「メイカーDAO」という分散型組織です。この仕組みの強みは、透明性と信頼性。担保の状況は誰でも確認できるし、中央の管理者がいないため、システムが公平に動きます。
例えば、DAIを発行するには担保価値の150%以上を預ける必要があります。これが価格安定の土台となっています。
3:分散型金融(DeFi)での利用
DAIは「分散型金融(DeFi)」という新しい金融システムで広く使われています。例えば、DAIを預けるだけで利息を得たり、DAIを使ってローンを組むこともできます。具体例を挙げると
・利回り
DAIを預けておくだけで、年利2%~5%程度の利息をもらえるプラットフォームがあります。
・ローン
担保を預けてDAIを借りれば、自由に使えるお金を手に入れつつ担保資産を保有できます。
これらのサービスは、銀行のような中央機関を介さないため、スピーディーで手数料も低いのが特徴です。
4:グローバルな利用可能性
DAIはどこの国でも使いやすい仮想通貨です。特に経済が不安定な国では、DAIのような安定した価値を持つ通貨が人気です。例えばアルゼンチンやベネズエラでは、法定通貨よりもDAIの方が信用されることがあるんですよ。
さらに、DAIはどんな銀行口座を持っていなくても使えるので、金融サービスにアクセスしにくい人々にとっても重要な選択肢です。
5:エコシステムの広がり
DAIは多くのプラットフォームやプロジェクトで使えるので、利用シーンがどんどん広がっています。例えば
・NFTの売買
・分散型取引所(DEX)でのトレード
・仮想通貨ゲームでの通貨としての利用
2024年時点でのDAIの時価総額は約60億ドル(約9,000億円)に達しており、DeFi市場の中心的な役割を果たしています。
6:エネルギー効率
ビットコインなどの仮想通貨は、取引や発行に大量のエネルギーを使うことが課題とされています。一方、DAIはブロックチェーン上で運営されますが、エネルギー消費の効率性が高い仕組みで運用されています。この点も、地球環境を意識する人々にとっては大きな強みです。
DAIの課題
1:過剰担保の問題
DAIは「価格を安定させる」ために、イーサリアム(ETH)などの仮想通貨を担保に発行されています。しかし、この仕組みには効率性の課題があります。具体的には、1DAIを発行するためにはその1.5倍、つまり150%以上の価値を担保としてロックする必要があります。
例えば、100ドル分のDAIを発行するためには、150ドル分のETHを預けなければなりません。このように、DAIを発行するためには資産の一部を拘束されるため、大量発行が難しい仕組みになっています。
2:仮想通貨市場の価格変動の影響
DAIの安定性は担保となる仮想通貨の価値に大きく依存しています。例えば、担保となるETHの価格が急激に下がった場合、DAIの安定性が損なわれるリスクがあります。
実際、2020年3月の「ブラックサーズデー」では、仮想通貨市場全体が急落し、ETHの価格が50%以上も下がりました。この時、DAIの価格も一時的に大きく変動し、システム全体が危機的状況に陥りました。このような「市場依存型」のリスクは、DAIの大きな課題のひとつです。
3:集中化の懸念
DAIは分散型金融(DeFi)の一部として機能していますが、その運営元であるメイカーDAOがある程度の意思決定権を持っているため、「本当に分散型か?」という議論があります。
例えば、メイカーDAOのガバナンストークン(MKR)を多く持つ人が投票権を支配できる仕組みのため、一部の大口保有者による影響が懸念されています。このような中央集権的な構造が、DAIの「分散型」というイメージと矛盾する可能性があります。
4:規制リスク
世界各国で仮想通貨に対する規制が厳しくなっています。例えば、ステーブルコイン(DAIのような価値を安定させた仮想通貨)には、政府や規制当局が特に注目しています。アメリカでは2023年に「ステーブルコイン規制法案」が提出され、発行元に対する厳しい基準が提案されました。
このような規制の影響で、DAIの利用範囲が狭まったり、メイカーDAOが新しい対応を迫られる可能性があります。
5:流動性の課題
DAIは他のメジャーなステーブルコイン(例えばUSDTやUSDC)と比較すると、取引量が少ない場合があります。2024年現在、DAIの時価総額は約60億ドル(約9,000億円)ですが、USDTの時価総額は約8,000億円と圧倒的に大きいです。
このような流動性の差は、DAIが取引所やDeFiプロジェクトで十分に使われない原因になることもあります。
DAIの将来予想
DAIが1ドルに近い価格で安定しているとはいえ、その「将来の価格予想」と言うと少し難しくなります。なぜなら、DAIの価格が大きく変動することは少ないからです。一般的にDAIの価格は1ドル前後に維持されると考えられているため、価格が1ドルを大きく超えることはないでしょう。
とはいえ、DAIの「価値」にはいくつかの要素が影響を与える可能性があります。例えば、規制の強化や新しい技術の導入などです。これらがDAIの仕組みに影響を与えることがあれば、価格が微妙に変動することもありえますが、1ドルに近い価格を保つことが基本です。
DAIの将来の「使われ方」
DAIが将来的にどう評価されるかは、使用される場面や環境に大きく依存します。例えば、DeFi(分散型金融)分野では、DAIは頻繁に使用されており、これからも利用が増える可能性が高いです。DAIは、DeFiでの「担保」としても利用されており、これによってDAIの需要が増加する可能性があります。
さらに、規制の動きもDAIの将来に影響を与える要素のひとつです。もし規制が厳しくなれば、DAIの流通量や利用範囲が狭まるかもしれませんが、逆に規制が整備されて安全性が増せば、より多くの人がDAIを利用するようになるかもしれません。
結論
DAIの価格予想というよりは、DAIの安定性が今後も続く可能性が高いと考えるのが妥当です。1DAIは1ドルの価値を維持し続けるため、大きな価格変動は予想しにくいです。ただし、DAIが利用される場面が増えることで需要が高まり、それが間接的にDAIの価値を支える形になります。規制や技術革新の影響を受ける可能性があるので、今後の動きにも注目する必要があります。
要するに、DAIの「価格予想」というものは、ほかの仮想通貨とは少し異なり、安定した1ドル近辺で推移することが予想されます。これがDAIの強みであり、将来にわたって続く可能性が高いです。
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