こんにちは。今回はマイケル・ルイスの『フラッシュ・ボーイズ』を読んで気づいたことをまとめます。
この本は、ウォール街を舞台にした「ハイ・フリークエンシー・トレーディング(高頻度取引、HFT)」の内幕を描いた作品です。一見すると専門的で難しそうに思えますが、実際には「お金の世界にはどんな不公平が潜んでいるのか?」を教えてくれる、とても刺激的な一冊でした。
1:HFT(高頻度取引)とは何か?
『フラッシュ・ボーイズ』の中心テーマは 高頻度取引(HFT) です。
これは、コンピュータを使ってミリ秒(1秒の1000分の1)単位で株を売買し、わずかな価格差から利益を稼ぐ手法。
普通の投資家や機関投資家が注文を出すよりも先に、超高速ネットワークを利用して取引を成立させてしまうのが特徴です。
要するに「速さ」を武器にした取引であり、まさに金融版のF1レースのような世界です。
2:なぜHFTが問題視されたのか?
一見すると技術革新のように思えるHFTですが、本書では「ほとんど不正に近い仕組み」だと批判されています。
なぜなら、一般の投資家が不利な立場に追いやられてしまうからです。
例えば、あなたが株を買おうと注文を出した瞬間、その情報をHFT業者が読み取り、あなたより早く同じ株を先に買い、少し高い値段で売りつける……。
これを繰り返すことで、HFT業者はリスクをほぼ負わずに利益を上げ続けることができました。
つまり「公正な市場」が、実は一部の超高速トレーダーに牛耳られていたのです。
3:ブラッド・カツヤマの挑戦
本書の主人公の一人が、ブラッド・カツヤマというカナダ出身の日系人トレーダーです。
彼はウォール街で働く中で「なぜ自分の注文が常に不利な価格で成立するのか?」という疑問を持ちました。徹底的に調べた結果、HFT業者が市場を操作していることに気づきます。
そこで彼は仲間を集め、投資家にとって公平な取引所「IEX(Investors Exchange)」を立ち上げました。
IEXは「スピードの優位性を封じる」仕組みを導入し、誰もが公平に取引できる市場を目指したのです。これはウォール街にとって革命的な試みでした。
4:『フラッシュ・ボーイズ』から学べること
この本を通じて感じた学びは大きく3つあります。
- 表に見えないルールを疑え金融の世界には、表向きのルールと、裏で働く本当のルールがある。
- 技術は武器にも罠にもなるテクノロジーは市場を効率化する一方で、不公平を生む原因にもなり得る。
- 正義を信じて戦う人がいるカツヤマのように「おかしいことはおかしい」と声を上げる存在が、システムを少しずつ変えていく。
5:なぜ高校生や一般人にも面白いのか?
正直、HFTの仕組みだけを聞くと「なんだか難しそう」と思うかもしれません。
でも、『フラッシュ・ボーイズ』はただの金融本ではなく、「不公平なゲームに立ち向かう人々の物語」なんです。映画やドラマのようにストーリー性があるから、高校生でも楽しめる内容になっています。
そして読むと、「ニュースで見る株価の動きの裏に、こんな駆け引きがあるんだ!」と視野が広がります。これは投資をしなくても知っておく価値があります。
まとめ:『フラッシュ・ボーイズ』を学んだ結果
『フラッシュ・ボーイズ』を読んで一番印象に残ったのは、「速さ」だけが正義ではないということです。
✔ 金融市場は一見公平に見えて、実は不公平な仕組みが潜んでいる
✔ その不公平を是正しようと動いた人々がいる
✔ 「技術」と「倫理」のバランスを考えることが大事
投資や金融に興味がある人だけでなく、「正義って何だろう?」「社会の仕組みってどうなってるんだろう?」と考えたい人におすすめの一冊です。
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